産業機器や精密機器のプロダクトデザインでは、外観だけを自由に考えられることはほとんどありません。
内部構造、操作部、可動部、設置条件、製造方法、メンテナンス性、安全性など、すでに多くの技術要件が存在する状態からデザインを始めることも少なくありません。
TWOFOUR DESIGN WORKS合同会社(TFDW)では、こうした条件を単に「デザイン上の制約」として受け取るのではなく、製品の構造や機能を理解し、設計担当者と確認しながら、何が固定条件で、どこに提案の余地があるのかを整理してから検討を始めます。
その上で、クライアントが目指している製品像やブランドイメージをビジュアルで共有し、技術条件と結び付けながら具体的な形へ落とし込んでいきます。
設計条件とデザインの自由度
デザインを始める前には、製品の用途や機能、内部構造、操作部や可動部の位置、設置条件など、外観に影響する基本的な要件を確認します。
ただし、提示された条件をデザイナー側が一方的に受け取るのではなく、設計担当者と、現時点で動かしにくい条件はどこか、調整の余地がある部分はどこかを確認・協議した上で検討を進めます。
一見すると固定条件に見える部分でも、デザイン側から別の方法を提案することで、大きな設計負荷を増やさず調整できる場合があります。
仕様が完全に固まる前から相談いただける場合には、デザイン側から提案できる選択肢も広がります。
デザインイメージの共有
構造や技術条件を把握したあと、すぐに具体的な外観案を描き始めるわけではありません。デザインを具体化に進める前にまず確認するのは、クライアントがその製品に対してどのようなイメージを持っているかです。
「先進的にしたい」
「信頼感のある製品にしたい」
「これまでより洗練された印象にしたい」
「信頼感のある製品にしたい」
「これまでより洗練された印象にしたい」
こうした言葉から思い浮かべる形は、人によって異なります。
依頼時点では、クライアント自身も「なんとなくこうしたい」というイメージまでしか持っていないことがあります。
そこで、我々はムードボードやイメージボード、競合製品のリサーチなどを使いながら、
「これは近い」
「これは少し違う」
「これは少し違う」
という対話を重ね、目指す方向性を丁寧に紐解き、具体化していきます。
デザインイメージを言葉だけで定義するのではなく、ビジュアルを共通言語として使うことで、認識のずれを減らしていき一緒にデザインを創り上げていくプロセスです。
デザイナーには、要求仕様の背景を読み解く力が必要
製品開発では、仕様書や要求事項の多くが文字情報として共有されます。デザイナーの仕事は、それらを一つずつ外観へ置き換えることではありません。
なぜその条件が必要なのか。
その要求によって何を実現したいのか。
その要求によって何を実現したいのか。
提示された要望の背景まで考えた上で、具体的なビジュアルへ変換していきます。
仕様書に書かれた言葉と、クライアントが実際に目指している製品像の間には、まだ形になっていない情報があります。
その意図や狙いを読み取り、デザインへつなげていくこともプロダクトデザイナーの仕事であり、重要なスキルであると考えています。
技術要件から生まれる造形
産業機器では、内部のエンジンやプラットフォーム、設置面積、可動部など、外観を大きく左右する条件が数多く存在します。
こうした条件は、必ずしもデザインを妨げるものではありません。
過去に手がけた装置デザインでも、内部構造やフットプリントなど複数の技術条件を成立させながら形を検討した結果、多角形を基調とした特徴的なモチーフを持った外観へ集約していったケースがありました。
最初から「多角形の製品をつくろう」と決めていたわけではありません。
内部構造や機能上の要件を読み解き、それらを成立させながら造形を整理していった結果、その製品にとって自然な形としてたどり着いたものです。
技術的な条件を単に外観の中へ隠すのではなく、その条件をどう捉えれば製品らしい造形へ発展させられるかを考える。
“Form follows function”という言葉にも通じますが、機能や構造から生まれる必然性を、製品のキャラクターへつなげていくこともプロダクトデザインの役割です。
デザイン案の展開と絞り込み
デザインイメージを検討する段階では、最初から一つの方向へ絞り込むのではなく、ある程度幅を持たせて探索します。
ムードボードなどを使って複数の方向性を提示し、クライアントとの対話を通じて、目指す製品像に近い方向を確認します。
その後、それぞれの方向性を具体的なデザインアイデアへ展開します。
例えば3案を提示する場合、似た案を三つ並べるのではなく、異なる方向性ごとに、その方向に対するベストと考える案を検討して提示します。目指すべきデザインの方向性をレビューで確認、共有した上でデザインのブラッシュアップへと進んでいきます。
こうした進め方自体はプロダクトデザインでは一般的なものです。ただ、初めて外部のデザイン会社へ依頼する場合には、どの段階で何を確認し、何を判断するのかが分かること自体が、プロジェクトを進める上での安心材料になると考えており、当社から提案するデザインはどのようなロジックでそのようなデザイン処理を行っているかをできるだけお伝えするようにしています。
デザインの意図を共有する
デザイン案を提案するときには、ビジュアルだけでなく、その形を考えた背景も説明します。
製品開発プロジェクトにおいて、設計者や事業担当者など、デザインを専門としていない数多くのメンバーも意思決定プロセスに関わります。
・なぜこの形になったのか。
・どの条件をどのように捉えたのか。
・最初に共有したデザインイメージをどう造形へ反映したのか。
・どの条件をどのように捉えたのか。
・最初に共有したデザインイメージをどう造形へ反映したのか。
こうした内容を整理して資料化します。
ただし、言葉によってデザインの印象を一つに固定することが目的ではありません。同じ形を見ても、受ける印象には個人差があります。
デザイナー自身が何を考え、どのような判断を積み重ねてこの形に至ったのかを共有することで、クライアントが自信を持ってデザインを判断するように出来るための提供材料を増やします。
言葉を使う際にも、「美しい」のように人によって解釈が大きく異なる表現だけに頼らず、できるだけ認識のずれが起きにくい言葉とビジュアルを組み合わせます。
スケッチと3D CADによるアイデアの可視化作業、造形検討
具体的な造形検討では、3D-CADでアイデアを具体化して提示いたします。
デザイナーは初期段階では手書きでいくつもキースケッチを描きますが、製品全体を完成図としてクライアントに伝える際には、3D-CADモデルをもとにデザインを提案しています。
「スケッチではいい感じだったけど、実装できない設計課題があった」と言った見落としや設計的な懸念を初期フェーズから取り去るためにもCADデータでアイデアを可視化することは非常に重要です。
特に技術条件の多い製品では、3D上で寸法や構造との関係を確認しながら、何度も形を動かしていきます。
TFDWにとってCADは、決定したデザインをデータ化するためだけの道具ではなく、デザインそのものを考えるためのツールでもあります。
完成形が最初から明確に見えているわけではありません。3D上で試行錯誤を重ねながら、複数の条件が自然に収まるポイントを探っていきます。
量産に向けたブラッシュアップ
方向性が決まった後は、そのデザインを実際に製造できる状態まで詰めていきます。
外装カバーの材料・工法が変われば成立する形も変わります。部品分割やパーティング、肉厚、内部部品との干渉、組立方法、清掃性、メンテナンス性、安全性など、設計・製造段階で確認すべき条件も数多くあります。
デザイン案の段階では成立すると考えていた形でも、実際に詳細設計を進めてみると、そのままでは実装できないことがあります。
その場合は設計担当者とやり取りしながら、細かな修正を随時積み重ねていきます。
デザインコンセプトを提案するところで仕事が終わるのではなく、実際の構造や製造条件の中で成立する製品へ仕上げるところまでデザインを更新していく。
TFDWでは、こうしたプロセスまで含めてプロダクトデザインと捉えています。
設計変更への具体的な対応については、別の記事で詳しく紹介します。
デザイン相談を始めるタイミング
初回相談の段階ですべての仕様が確定している必要はありません。
製品や開発の概要、現時点で分かっている機能や設計条件、既存の試作機やCAD・図面、想定しているスケジュールや開発体制など、その時点で分かっている情報を共有いただければ、どこからデザイン検討を始められるかを整理できます。
設計が進んだ状態から外観デザインを検討する案件もあれば、仕様や構造を検討している段階から参加する案件もあります。
早い段階から参加できるほど、デザイン側から提案できる選択肢も広がります。
TFDWのプロダクトデザインについて
TWOFOUR DESIGN WORKS合同会社では、産業機器、精密機器、ロボティクス、医療・ヘルスケア機器などを中心に、プロダクトデザイン、外装設計、試作・量産フォローまで支援しています。
製品の技術要件を確認しながら設計担当者と連携し、デザインの方向性検討から具体的な造形、量産に向けたブラッシュアップまで進めています。