産業機器の製品開発では、デザイン提案後も内部構造や製造方法、コスト、組立性、メンテナンス要件などが具体化し、それに伴って外装にも設計変更が必要になることがあります。
こうした変更は、製品開発の中では決して珍しいものではありません。
TWOFOUR DESIGN WORKS合同会社(TFDW)では、初期に提案したデザインを固定的に守るのではなく、新たに加わった設計要件を正確に理解しながら、当初のデザインコンセプトや製品としての品位を保ち、より完成度の高い製品へつなげていくことを重視しています。
機能、構造、製造性、コスト、組立性、保守性、清掃性、ブランド、外観品質など、製品に求められるさまざまな条件を横断して考える必要があるからです。
設計変更への対応も、そのためのプロダクトデザインの重要なプロセスの一つです。
機能性を起点にデザインする
「機能を優先するとデザイン性が失われる」「デザインを重視すると、性能や使いやすさが犠牲になる」。
製品開発では、機能とデザインが対立するものとして捉えられることがあります。
TFDWでは、この二つを単純な二者択一とは考えていません。
“Form follows function” という考え方にも通じますが、まず製品に求められる機能や構造、使用環境を理解し、それらを起点として外観を成立させることを重視しています。
意匠上の都合によって、本来その製品に求められる性能や使いやすさを不必要に損なうことは避けるべきです。一方で、機能要件を満たすだけで、製品として魅力的で一貫性のある外観が自然に完成するわけでもありません。
開発が進み、内部構造や製造方法、メンテナンス条件などが具体化していけば、それに応じて外装にも新しい条件が生まれます。
その都度、機能性を損なうことなく、製品としての造形や品位をどう成立させるかを考える。
TFDWでは、こうしたプロセスまで含めてプロダクトデザインだと捉えています。
設計変更では、まず背景と目的を理解する
設計担当者から変更の相談を受けた際、TFDWでは変更内容だけを見るのではなく、なぜその変更が必要なのかを確認するようにしています。
何を成立させるための変更なのか。
どの条件が必須なのか。
まだ検討段階なのか、それともすでに確定した設計条件なのか。
どの条件が必須なのか。
まだ検討段階なのか、それともすでに確定した設計条件なのか。
背景まで理解することで、対応方法の選択肢が広がることがあります。
例えば、内部部品の位置変更が検討されている場合でも、その変更によって解決したい課題を確認すると、内部構造そのものを変更するのではなく、外装形状を調整することで同じ条件を成立させられる場合があります。
見解が食い違ったときも、設計担当者と対立することが目的ではありません。それぞれが重視している条件や背景を共有し、製品全体として成立する解決方法を一緒に探ります。
デザイナー自身が、設計者がどのような課題に直面しているのかを理解することで、単に変更内容を外観へ反映するだけでなく、デザイン側から代替案や、製品全体としてより適した修正案を提示しやすくなります。
製品に求められる条件を、一つの製品として統合する
プロダクトデザインは、外観だけを独立して考える仕事ではありません。
製品開発では、機能・性能、内部構造、製造方法、製造コスト、組立性、メンテナンス性、清掃性、安全性、操作性、ブランドとしての一貫性、外観品質など、多くの条件が同時に存在します。
TFDWでは、こうした製品に求められる条件を横断して考え、一つの製品として整合させていくことも、プロダクトデザインの役割だと考えています。
同じ要求条件でも、内部構造側で対応する方法と、外装側で成立させる方法の双方が考えられる場合があります。
その際には外観だけを優先するのではなく、機能、製造性、コスト、使いやすさなどへの影響も踏まえながら、設計担当者と対応方法を検討します。
デザイナーとして重視すべき点はきちんと伝える。一方で、設計、製造、事業企画など、それぞれの立場から提示される条件にも耳を傾ける。
設計、デザイン、製造、事業企画では重視するポイントが異なりますが、最終的には全員がより良い製品をつくろうとしています。
複数の要求に横串を通し、製品全体としてバランスの取れた形にまとめていくことも、プロダクトデザインの重要な役割です。
3Dデータとコミュニケーションを、設計者との共通言語にする
設計変更については、可能な限り3Dデータを用いて確認します。
言葉だけでは、形状や位置関係、可動範囲、クリアランスなどについて、デザイナーと設計者の間で認識に差が生まれることがあります。
同じ3Dモデルを見ながら確認することで、変更しようとしている内容をより正確に把握でき、外装側からも具体的な提案を行いやすくなります。
すべての内容が確定してから相談していただく必要はありません。
TFDWでは、プロジェクト開始時のキックオフから、確定した設計変更だけでなく、
「この構造を少し変えようと考えている」
「この部分の成立性で悩んでいる」
「この部分の成立性で悩んでいる」
といった検討途中の内容についても、気軽に共有いただきたいとお伝えしています。
早い段階から検討の背景を共有してもらうことで、デザイナー自身が設計者の抱えている課題や、そこに至った検討プロセスを理解しやすくなります。
その結果、決定事項を外観へ反映するだけでなく、デザイン側から別の選択肢を提案したり、設計変更の意図をより適切にデザイン反映した修正案を検討したりすることができます。
こうしたやり取りには、プロジェクトメンバー間の信頼関係も欠かせません。
設計側からの要望をデザイン側が真摯に検討して返す。デザイン側から要望を出す際にも、その理由を設計担当者と共有する。
その積み重ねによって、検討途中の情報も共有しやすくなり、設計とデザインのコミュニケーションの質も高まっていきます。
TFDWでは、設計者とデザイナーがそれぞれ別の工程を担当するというよりも、一つの開発チームとして検討を進められる状態を理想としています。
大きな変更では、新しい条件からもう一度デザインを探索する
設計変更の中には、既存モデルの一部分を修正するだけで対応できるものもあれば、基本寸法や内部構造そのものが大きく変わるものもあります。
後者の場合、既存のCADモデルをそのまま修正し続けることが、必ずしも最適とは限りません。
TFDWでは必要に応じて、新しい設計条件をもとにCADモデル自体を再構築することがあります。
プロポーション、面構成、部品同士の関係性などを改めて検討しながらモデルを作り直していくと、当初案を単純に変形するだけでは見つからなかった、新しい条件に適したデザイン解が見えてくることがあります。
CADは、決定したデザインを形にするためだけのツールではありません。
形状を構築し、検討し、修正していく過程そのものが、新しいデザインを探索するプロセスになることがあります。
設計変更を、完成したデザインに対する単なる修正作業として扱うのではなく、更新された条件に対して改めて最適な形を探す。
こうした検討を積み重ねながら、大きな設計変更が発生した場合でも、当初のデザインコンセプトや製品としての品位を維持することを目指します。
設計変更まで含めて、「つくれる製品」に仕上げる
TFDW代表はこれまで、少量多品種の特注製品から、世界市場向けに大規模量産される製品まで、さまざまな生産条件のもとで製品デザイン・開発に携わってきました。
その中で、機構設計、製造、事業企画など多くの開発メンバーとコミュニケーションを重ねながら、製造方法や構造変更に応じて外装デザインを成立させるための知見を蓄積してきました。
例えば、樹脂と板金では成立させられる形状が異なります。
開閉や摺動、着脱などの新しい構造が加われば、それまで存在しなかった可動条件や分割条件も外装へ反映する必要があります。
量産品であれば、金型や成形条件、組立性、製造コストまで考慮する必要があります。保守を伴う産業機器であれば、メンテナンス時のアクセス性や清掃性も重要になります。
デザインコンセプトとして魅力的な外観をつくるだけでは、製品開発は完了しません。
実際の設計・製造条件の中で成立し、製造され、使用され、保守され、最終的に市場へ届けられるところまでデザインを作り込む。
TFDWでは、そこまでをプロダクトデザインの仕事として捉えています。
設計変更への対応も、その延長線上にあります。
開発の途中で条件が変わったときにも、設計担当者と相談しながら、その製品に求められる機能や製造条件と、当初目指していたデザインをもう一度結び直していく。
そうした積み重ねによって、機能性とデザイン品質の双方を備えた、実際につくれる製品へ仕上げていくことを目指しています。
TFDWのプロダクトデザインについて
TWOFOUR DESIGN WORKS合同会社では、産業機器、精密機器、ロボティクス、医療・ヘルスケア機器などを中心に、プロダクトデザイン、外装設計、試作・量産フォローまで一貫したデザイン支援を行っています。
新規製品のデザイン開発だけでなく、既存設計をベースとした外観改善や、開発途中からのデザイン検討についてもご相談いただけます。